孤独感や疎外感は肥満よりも深刻な社会問題(米研究)

孤独感や疎外感はよく取りざたされる肥満よりもずっと深刻な健康問題であると専門家が注意を呼びかけている。

アメリカではますます多くの人々が孤独な生活を送るようになっているそうだ。

既婚率は下がり、出生率も低下している。

このように拡大しつつある孤独は早死にするリスクを高める恐れがあるという。

他人との繋がりは幸福と生存の両方にとって決定的に重要な基本的ニーズである、と米ブリガムヤング大学の心理学者ジュリアン・ホルト=ランスタッド(Julianne Holt-Lunstad) 博士は説明する。

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【孤独や孤立が起因する若年死】

つい最近、ランスタッド博士は孤独と若年死に関する2本の大規模なメタ解析研究を発表した。

ここから社会的な孤立と孤独によって若年死のリスクが大きく増加するという確たる証拠が得られた。

それは多くの主要な健康指標を上回るほどだという。

2010年から始められたメタ解析では、被験者の合計が308,849名になる148本の研究が精査された。

抽出されたデータは社会的関係・健康状態・既存の症状・死因といったもので、社会的に孤立している人と豊かな人間関係がある人との違いが定量化された。

その結果、豊かな人間関係がある人は孤立している人よりも生存率が50パーセントも高いことが判明した。

これは禁煙の効果に匹敵し、肥満や運動不足のようなよく知られるリスク因子を上回る影響である。

 

【独り暮らしの増加が孤独による死亡を後押し】

もう1つのメタ解析では、1980~2014年に発表された70本の研究を対象として、孤独・社会的孤立・一人暮らしが死亡率にどのように影響するのかを示すデータをさらに集めた。

データからは3つの要因がいずれも死亡率を26~32パーセント上昇されることが判明した。

この数値は、北アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリアの340万人分から得られたものである。

これについてホルト=ランスタッド博士は、一人暮らしをしている人の割合は国税調査が始まって以来、そしておそらくは人類史史上最高であろうと述べている。

 

【孤独や孤立が精神衛生と心血管疾患に影響】

孤独や社会的孤立が健康に与える悪影響はますます理解されつつある。

特にリスクが増大するのは精神衛生の問題と心血管疾患だ。

アメリカでは人口の4分の1以上が一人暮らしをしており、世界各地で同じような傾向が見られる。

またイギリスやインドなど、特に高齢者で孤独の問題が深刻化している地域もある。

社会の高齢化が進めば、孤独の公衆衛生への影響は増すばかりだ。

 

【孤独は公衆衛生の脅威。国家ぐるみの孤独対策が必要】

ホルト=ランスタッド博士が提案するのは、孤独を公衆衛生に対する脅威であるとみなし、社会全体で問題に取り組むことだ。

例えば、学校で社交スキル教育を重視したり、健康診断の項目に人付き合いの有無を加えたりといったことが考えられる。

また個人のレベルでは、今ある人間関係に積極的に意識を向けるということだ。

人間関係の質を向上させるには、何より身近にいる人たちと親密さを築き上げることが有望であるからだ。

人間関係を好転させる心理学的アプローチを用いたりするのも有効かもしれない。

SNSなど顔の見えない付き合いは、かえって孤独感を助長する場合もある。

SNS上では幸せに満ち溢れた自分を演出しがちな傾向にある。

虚像の世界を自分と比較することで孤独感が増したり、逆に自分の幸せをとりつくろうことに疲れてしまう。

人の集まる場所に足を運んで、リアルな人たちを見てみよう。そしてまだ元気があるうちは、友達に話しかけてみよう。きっとあなたの健康にいいはずだ。

引用元:孤独の蔓延が人々の命を奪う。孤独感や疎外感は肥満よりも深刻な社会問題(米研究)(記事全文)