睡眠不足解消! 自律訓練法で睡眠名人

2017年10月27日


薬を使わない不眠症の治療で、高い効果が実証されているものに、自律訓練法があります。

自分に催眠術をかける?

催眠と聞くと、どういうイメージが浮かびますか? 

催眠術師の意のままに人形のように操られ、普通では考えられない行動をとる……。

テレビ番組で見る催眠術は「舞台催眠」と言いますが、なにやら妖しげな印象を受けるかもしれません。

しかし、心理学や精神医学の分野で、催眠は重要な役割を果たしてきました。

精神分析を始めたフロイトも、一時期は催眠を使った治療を行い効果を挙げています。

ここで取り上げる自律訓練法は、決められた言葉(=公式)を心の中で繰り返すことによって、自分に軽い催眠術をかけます。

その状態で、心と体にさりげない注意を払うことで、筋肉を緩め落ち着いた気分になる方法です。

これをマスターすれば短時間で心身ともにリラックスできるので、ストレスが原因の不眠に悩む人だけでなく、睡眠の質をよくして睡眠時間を短縮したい人にもお勧めです。

催眠術から自律訓練法へ

ヨーロッパでは19世紀の終わり頃、催眠を用いた治療が神経症や心身症の人に行われていました。

ベルリンの大脳生理学者、オスカー・フォークトは、催眠に何度もかけられていると、ただそれだけで病気が治ったり、健康感が増すことに気付きます。

20世紀に入ると、催眠状態に入ったときの特徴が明らかにされ、効果的に催眠状態になる方法が研究されました。

ヨーロッパの心身医学の草分けであるドイツの精神医学者、ヨハネス・ハインリッヒ・シュルツは、1926年に自己暗示訓練法を考案し、1932年には「自律訓練法」を出版しました。

この本の初めの部分には、「自律訓練法というのは、催眠をかけられたときと同じ状態になるように、合理的に組み立てられている生理学的訓練法である」とあります。これにより催眠療法をもとに、ヨーガや禅も取り入れた自己訓練法が確立しました。自律訓練法はその成り立ちから、自己催眠法あるいは自己弛緩訓練法とも呼ばれています。

 

まずは、標準練習から

基本的な手順は「自律訓練法でうつを治す」と同じです。

しっかりマスターして、グッスリ眠りましょう!
自律訓練法には、基礎の標準練習と上級編の時間感覚練習などの、2段階のプログラムがあります。始めに習得する標準練習は、7つの段階から構成されています。

安静練習: 背景公式 「気持ちが(とても)落ち着いている」
四肢重感練習: 第1公式 「両腕両脚が(とても)重たい」
四肢温感練習: 第2公式 「両腕両脚が温かい」
心臓調整練習: 第3公式 「心臓が(自然に)静かに規則正しく打っている」
呼吸調整練習: 第4公式 「(自然に」楽に呼吸している」
腹部温感練習: 第5公式 「お腹(太陽神経叢)が温かい」
額部涼感練習: 第6公式 「額が心地よく涼しい」

練習では、心身ともにリラックスした状態で、「公式」と呼ばれる決められた言葉を心の中で繰り返します。

この公式は、単なるお題目ではありません。練習中に起きる、心と体の生理的な変化を示しています。

また、ここで使う公式は、催眠状態になりやすいように、短く的確な言葉が選ばれています。


毎日、短時間の練習を続けることが大切です
効果的に練習するためには、1回3~5分間のセッションを、1日2~3回行います。

はじめのうちは、安静練習だけで5分かかるでしょう。

次第に上手くなってくると、1つの公式にかかる時間が短くなります。

最終的には、5分で全ての公式を心の中で繰り返し、実際にその状態になれます。

慣れるに従って練習時間を延ばしていき、自律訓練の効果が出た状態を20~30分、持続させるようにもします。

練習する時間帯は、起床直後、昼食後、夕食後、眠る前などで、リラックスしやすいときを選んでください。グッスリ眠るために、就寝前の練習は必ず行いましょう。

練習時間が長く取れるときは、背景公式から消去動作までのセットを数回繰り返します。

ただし、練習に集中できなくなってきたら、早めに切り上げたほうが有効に時間が使えます。

1つの公式を習得するためには、数週間かかります。

さらに、標準練習すべてを自分のものにできるまでには、早い人で2ヶ月、遅い人では半年以上かかります。

焦ってもすぐに効果が出るわけではないので、気長に構える必要があります。長く続けて、習慣化することを目指しましょう。

 

静かなところでくつろぐ

ネクタイ 締め付けが緩むと、とたんに緊張が解けます

自律訓練法は、体と心をリラックスさせることが目的です。

そのため練習の前に、外の環境や体の状態を整えておく必要があります。

まず、練習する場所は、音や光の刺激が少なく、温度や湿度も心地よく感じられるところを選びます。

もちろん理想的な環境を求めていたら、なかなか見つかりませんから、自分がくつろいだ気分になれる場所を探しましょう。

ネクタイやベルト、腕時計など体を締め付けるものは、緩めておきます。

靴も、スリッパやサンダルに履き替えると良いでしょう。

お腹が空き過ぎていれば、小腹を満たしておきます。

練習前には、トイレにも行っておいたほうが安心です。

リラックスしやすく、自律訓練法を行いやすい姿勢として、3種類が推奨されています。

布団やベッドの上で仰向きに寝る「仰臥姿勢」、普通の椅子に腰掛ける「単純椅子姿勢」、ソファなどで頭をもたれかからせる「ソファ姿勢」です。

仰臥姿勢は、3つの基本姿勢のうち、最も効果が出やすい姿勢です。

また、入眠の儀式にするときにも、お勧めです。

自分に合った高さや硬さの枕をして、布団やマットレスの上に仰向けで寝ます。

両腕と両脚は、軽く開いて体から少し離しておきます。

肘や手首、指は、自然に曲がり気味にします。

単純椅子姿勢は、職場などで、普通の椅子に座ってできる方法です。

椅子に深く腰掛けて、膝を直角よりも少し伸ばし、脚を少し開きます。

このときに、足の裏が指先からかかとまでしっかり床に着くように、椅子の高さを調整して下さい。

両手は、手のひらを下にして、太ももの上に置きます。

一度、背筋を伸ばしてから、息を吐きながら体の力を抜いていきます。

背中が丸くなり、頭が少し前に垂れた状態で安定します。

ソファ姿勢は、背中から頭までの支えがある椅子に腰掛けて作ります。

基本的には単純椅子姿勢と同じですが、両腕は肘掛に乗せるか、太ももに沿わせておきます。

腰から上は、後ろにもたれかからせます。