SNSの人間関係が原因か? 若者に多い“非定型うつ病”


患者数が過去最多となったうつ病。

興味が湧かない、眠れないなど長引けば日常生活に支障をきたしてしまう病気だ。
杏林大学病院精神神経科の渡邊衡一郎医師と東京女子医科大学東医療センター精神科の山田和男教授にうつ病の疑問を聞いた。

Q:最近のうつ病の傾向を教えてください。

A:「若年層の発症が増えています。若年層に多いのは、『非定型』と呼ばれるタイプ。
うつ病の典型は、『メランコリー親和型』というタイプで、まじめで几帳面な性格の人がかかり、40~50代の中高年に多い。

この典型に対して、非定型は、楽しい出来事があったときに一時的に元気になるのが特徴。典型的なうつ病は食欲がなくなり眠れなくなりますが、非定型は過食になったり眠りすぎたり、手足が鉛のように重い感覚があります。

大学生など若い患者さんを診ていると、もともと成績が優秀で挫折を知らない人が多い。不意のストレスに対する適応力がない人が目立ちます。非常に対人関係に敏感なのも特徴です。

SNSで自分だけグループに入れてもらえないといった相談もあります。対面ではないコミュニケーションが複雑化したため、ストレスが増えているのかも
しれません」(渡邊医師)

Q:軽度、中等度、重度はどのような方法で診断しますか?

A:「いろいろな分け方がありますが、最近注目されているのが『うつ度チェック簡易抑うつ症状尺度』(QIDS)です。患者へのアンケートで、実際の症状に点数をつけ、その合計点数で客観的に重症度を測ります。

その他、寝込んでいて会社に行けないレベルか(社会生活への影響)、死にたい気持ちが強いかなどを医師が診て総合的に判断します。

抗うつ薬を服用中は、薬の効果をモニタリングすることも大切です。その際も、重症度の変化を確認します。
患者さんの自覚に加えて、QIDSで客観的に測るのがいちばんよいでしょう。

また、患者の薬への不満を聞くことも大切です。
半年で半分以上の人が飲まなくなる、あるいは病院へ行かなくなります。吐き気や眠気などの副作用は、使用開始から2週間程度は出る可能性がありますが、なじんでくると治まります。
事前にこうした説明をすることも大切です」(渡邊医師)

Q:若年層の抗うつ薬の使用の注意点は?

A:「気をつけたいのは、25歳未満の若い年齢です。
そのくらいの年齢ですと、双極性障害に変化する可能性があるからです。
双極性障害の一番発症しやすい年代が20代前後。
双極性障害の3分の2がうつ病の症状から始まるので、将来的に躁状態が出て、双極性障害になる可能性が高い。

双極性障害の患者が抗うつ薬を使うと躁状態になるので、慎重に使用する必要があります」(山田医師)

※週刊朝日 2016年4月15日号