損失余命と健康利得の考え方

「損失余命」という用語があります。

WHO(世界保健機関)など各国の医療機関・団体で使用されている「何らかの行為によって縮まる寿命」のこと。

 

しかし、損失余命にとらわれると何もできなくなってしまいます。
損失余命を語るには健康利得とセットで考える必要があります。

数値はリスク面のみを積み上げて算出され、プラスに寄与する要素を考慮していません。
そもそも人間は何も食べずには生きられない。多くの食べ物に何らかのデメリットとメリットがあるわけで、損失余命は“食べてはダメ”という短絡的な指標ではありません。

この前提を踏まえたうえで、どんな食事に、どの程度の損失余命があるとされているのか。

WHOが「加工肉と赤肉(哺乳類の肉のこと。「赤身肉」ではない)の発がん性リスク」について発表して物議を醸した。

「福井県立大学の岡敏弘・教授の研究を基に算出すると、ロースハム1枚で19秒、ジャンボフランクフルト1本で1分14秒の損失余命となります」

古くから研究対象となっている「コーヒー」。

米ピッツバーグ大学のB・コーエン名誉教授は1979年に、「コーヒー1杯で平均寿命は20秒縮む」という研究を発表しています。

含有カフェインが膀胱がんの発症率を高めるという理屈ですが、これもやはりリスク要因だけに着目した数字。

実はミネラルウォーターにも一定量のヒ素が含まれるため、「軟水1リットルで59秒縮まり、硬水はそれ以上という試算」

また、
ミネラルウォーターには放射性物質のラジウムも含まれる場合があるので損失余命が増えます。

その点で見れば、塩素消毒によるリスクはあるがヒ素やラジウムを低減している水道水の方が理論上のリスクは低いといえます。

では、こうした情報をどう受け止めればいいのか。

損失余命の考え方を見ると何かをすると必ず数秒~数分寿命が縮む。
つまり、たとえば、食べ物を食べれば、少なからず、寿命が縮むというデメリットのみをみた数字。

じゃあ、食料を一切取らなければいいのか?

もちろん、それでは餓死してしまいます。

餓死を防ぐためには、食料を食べなければなりません。
つまり、食料を取ることにより寿命が延びるということもあることがわかります。

これを損失余命に対して健康利得と定義した上で考える必要があります。

健康利得には、先ほどのコーヒーの研究の例でいうと、

「コーヒーには血栓をつくりにくくする効果があり、心筋梗塞や脳卒中のリスクを低下させるといった研究もある。」

というものも含まれます。

日本は毎年、国別平均寿命の長寿を更新し続けています。
2016年5月にWHO(世界保健機関)が発表した国別の平均寿命に関するデータで、日本は平均寿命男女平均(83.7歳)で世界1位に輝いています。

最近では、日本食に抗酸化作用の高い食品が多いことも長寿の要因として挙げられています。

細胞が老化するというのは、細胞が酸化したことを指します。

細胞を酸化させにくくするのが抗酸化作用の食品なのです。

特に注目されているのが発酵食品になります。

味噌や納豆といった日本人の一般家庭で食べられる食品です。

そうした抗酸化作用の高い食品が日本人の長寿を支えているのかもしれません。

長生きするには、バランスの良い食事を取るにこしたことはない、ということですね。

もっと極端な話ですと、無理に禁煙してストレスを溜めて他の病気になってしまうことも考えられるため、喫煙による12分の損失は大したことないのかもしれません。

健康を気にしすぎて逆に不健康になるようなものですね。
少なくとも、1つの方向からの数字に振り回されるのではなく、広い視野で物事をとらえられる姿勢でいたいものです。