タバコより危険!? 「ひじきで寿命が縮まる」は本当?


■ひじきは「無機ヒ素」を多く含むから危険で有害?

ひじきは日本人が古来から食べてきた食品のひとつです。

ところが、2004年7月英国食品規格庁より、ひじきは健康を害するため食べない方がよいとの勧告が出されました。
理由は「無機ヒ素」を多く含むため。

ご存知の方が多いと思いますが、「ヒ素」は農薬や殺鼠剤に使われる毒物です。
ヒ素には「有機ヒ素」と「無機ヒ素」があり、毒性は「無機ヒ素」のほうが強いといわれています。

WHO(世界保健機関)のファクトシートによると「飲料水や食事からのヒ素の長期にわたる摂取は、がんや皮膚病変の原因となりうる。

また、心血管疾患、神経疾患、糖尿病の発症にも関連している。」とあります。

ヒ素中毒は一度に大量に摂取したことによって起こる急性中毒だけでなく、慢性的に蓄積されることで慢性中毒が起こることもあります。

■「ひじきの損失余命」とは?

これを受けて「ひじきの損失余命」はどのくらいなのか、気になる人もいるようです。

損失余命」とは身体に悪影響を及ぼす食事や行動によって、どのくらい寿命が縮まるかを示す考え方です。

WHOが取り入れている考え方でもあります。

代表的な損失余命としては、タバコを1本吸うと12分縮まる、コーヒーを1杯飲むと20秒、ソーセージを1本食べると25秒縮まるといったものが知られています。

この考え方によると、ひじきの損失余命は小鉢1杯で58分と言われており、タバコより損失が大きいことから、「ひじきはタバコよりも有害」という説がセンセーショナルに広まったようです。

■厚生労働省の見解に見るひじきのヒ素の安全性・危険性

それでは実際に、私たちが日常的に食べているひじきは、安全なのでしょうか? 危険なのでしょうか?

厚生労働省が、実際に日本人が食べているひじきの量から危険性の有無を、東京都福祉保健局が「ひじきに含まれるヒ素」でまとめています。

これによると……

・日本人の平均的な海藻摂取量は1日あたり14.6g。そのうち、ひじきは約0.6gです。
・WHOが定めた無機ヒ素の耐用週間摂取量は15マイクロg/kg体重/週なので、体重50kgの人の場合、1日に107マイクロg(1週間に750マイクロg)までは大丈夫。
・ひじきに含まれる無機ヒ素は最大22.7mg/kg(22.7マイクロg/g)ですので、1日あたり4.7g以上を食べ続けない限り、健康に悪影響を与えることはありません。

平均的な日本人の食生活では、ひじきの摂取量は1日0.6g程度。
ですので、今まで通りの食事であれば、ひじきで問題は起こらないと考えて差し支えありません。

もちろん量の問題ですので、もし毎日必ず、丼に1杯ずつひじきを食べているという場合は無機ヒ素が問題になる可能性もあります(しかしその場合、ひじきの無機ヒ素の問題以前に食事のバランスがよくないので、食事内容を考え直すべきでしょう)。

実際、厚生労働省の発表にも「海藻中に含まれるヒ素によるヒ素中毒の健康被害が起きたとの報告はありません」と明記されています。

農林水産省の「乾燥ヒジキのヒ素を減らす調理法の調査結果」によれば、鉄分は茹でこぼしをしても7割以上が残り、カルシウムはほとんど変わらず(水戻しのみ若干、増えたようですが、水道水中のカルシウムの影響ではないかと記載されています)、食物繊維は8割以上が残っていたとの結果でした。これらの結果を見る限りでは、ひじきの無機ヒ素を怖がるよりも、食材のひとつとして今後も活用するほうがよさそうです。

身体に悪影響があると言われているものを食べるのは避けたいですが、ひじきに限らず、すべての食材には多かれ少なかれ、メリットとデメリットの双方があります。

メリットとデメリットの両方をきちんと精査し、センセーショナルな情報だけに惑わされずに、自分にとってより有意義な方法をしっかり選択したいものです。

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