やる気が出ない・スランプ状態……無気力と心の病気


誰にでも無気力になることはあるものです。

たとえば睡眠時間が全然足りず、ひどく疲れているようなときは、新しいことを始めるバイタリティーはわかないでしょう。

しかし、そんなときはしっかりと眠れば、元の状態に戻れるもの。

でも、理由もなくスランプ状態が続いたり、眠っても疲れがとれない場合、心の健康に赤信号が点っている可能性があります。

■心の病気とは気付かれにくい無気力状態

やる気が低下して、いわゆる「スランプ状態」になってしまうと、日常生活にさまざまな支障が現れやすくなります。

たとえば、やるべきことへのモチベーションを維持できなくなり、一日中テレビのスイッチを入れたまま、ソファでぼんやりと無為な時間を過ごしてしまうこともあるかも知れません。

そんなときは、以下のような状態になっている可能性があります。

・情動の表出がかなり制限されている
・喜怒哀楽に乏しくなっている
・物事に目的意識を持ちにくい
・物事に興味を持ちにくい
・話をしても、内容が表面的で深みが無い
・社会的欲求が低下している

こうした状態が長引けば、日常生活に深刻な支障が生じる可能性もありますが、最初から心の病気を疑われることはあまりないかもしれません。

他人の目には
「あの人は最近、覇気に欠けている」「話をしても全然おもしろくない」などとネガティブな印象を与えてしまいがちですが、こうした症状が心の病気に関連する可能性には、なかなか気付いてもらえないものです。

■うつ病、統合失調症……無気力状態は心の病気の症状の一つ

もっとも、こうした不調が一時的なものであれば、心の病気だと問題視する必要ありません。

しかしスランプ状態が数週間も持続している場合は、うつ病や統合失調症など、心の病気の危険信号だと考えてください。

まず、うつ病ですが、その名の通り、気持ちの落ち込みが特徴的です。

抑うつ症状として、意欲の低下、物事への興味の減退といった精神エネルギーの低下が起こります。

一方、統合失調症は妄想や幻覚といった症状が特徴的ですが、意欲の低下、喜怒哀楽に乏しくなるといった症状も少なくありません。

たとえば、上記に挙げた6つの症状は統合失調症では陰性症状(欠陥症状)と呼ばれます。

陰性(あるいは欠陥)とは、本来、その人に見られていた情動の表出や喜怒哀楽などが欠落していることを指す語です。

反対に、本来、その人に元々なかった幻覚や妄想は病気になったために出現したという観点から、陽性症状と呼ばれます。

そのほか、バイタリティの低下に関連する心の病気として、人と関わり合う状況を極端に恐れる「対人恐怖症」などもあります。

■無気力状態が長引く場合は精神科受診を

もしも、バイタリティの低下の原因が心の病気ならば、できるだけ早期に精神科(神経科)を受診したいところです。

とはいえ、不調が日常的レベルのものなのか、それとも、心の病気のレベルに達しているのか、その境界は少なからず曖昧なもの。

一般に、違いの目安は症状の持続期間、症状のレベル、そして日常生活に生じている支障の程度によります。

症状の持続期間が2週間以上、そして、なにかしら日常生活上で支障が現れているようであれば、精神科を受診することをおすすめします。

なお、本人が無気力状態になっていても、周囲の目には病的なものだと認識されにくいものです。

たとえば、家族が自室に引きこもるようになっていたり、学校の成績が急低下するといった異変があれば、場合によっては心の病気の可能性もあることを、ぜひご留意ください。