新型コロナで「突然重体化」した人たちの共通点

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新型コロナをあなどってはいけないーPresident Online


 世界中で猛威を奮う新型コロナウイルス。「日本も油断していると、アメリカやイタリアのような惨状になる」欧米在住者からそう言われつつも、幸いにも現時点では両国ほどの感染爆発や医療崩壊を起こさずにこれまできています。「日本はもう大丈夫なのでは……? 」そのような楽観論を持つ人も出てきており、緊急事態宣言が出されるも、一部の行楽地で人の混雑が起きるなどが問題も起きました。

しかし、新型コロナを巡っては、感染発覚後、急速に容態が悪化して急死するケースも出ています。新型コロナの特徴には「入院から全快まで時間がかかり、医療リソースを長期的に専有する」というものがあります。重症患者の治療の余力を確保し、医療崩壊を回避するためには、短期間で入院患者数を増やさず、医療リソースを節約することが肝となります。最近ではビジネスホテル最大手のアパホテルが「軽症患者の受け入れを表明」、医療崩壊を回避につながる動きも見られます。また、日本は治療薬のアビガンを希望国へ無償提供の表明もしています。

 このように新型コロナ対応では比較的、健闘しているように思われる日本ですが、埼玉県では、自宅で安静にしていた容態が急変し、死亡した男性がいました。また、交通事故などで来院した患者や、死亡後に新型コロナに感染していたと発覚する話も出ており、知らぬ間に忍び寄る、このウイルスの脅威が問題になっています。

■急速に症状が悪化した、岡江久美子さんと志村けんさん

 女優の岡江久美子さんが4月23日に新型コロナで他界されました。4月3日に発熱し、医師からは「4~5日間様子を見よう」と言われていましたが、発熱から3日間が経過した6日に容態が急変、ICU(集中治療室)で人工呼吸器を装着、入院後のPCRに検査で陽性が発覚しました。治療の手を尽くすも、23日に亡くなっています。

 白鴎大学教授の岡田晴恵氏は、岡江さんが新型コロナで重体化したことについて、以下の可能性をテレビ番組で上げました。「63歳という比較的高齢」「乳がん治療の一環で放射線治療をやっていたことが免疫抑制になった」「乳がんという基礎疾患持ち」です。

 岡江さんは「新型コロナの重体化に繋がり得る条件」を備えていた可能性がありますが、3日後という短期間に容態が悪くなり、入院後に初めて新型コロナ陽性となって急死しました。

 タレントの志村けんさんも新型コロナに感染し、亡くなりました。志村さんの重体化理由には、70代という高齢であることと、長年の喫煙歴によってCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性があると倉持仁医師と、北村義浩医学博士がテレビ番組で見解を述べています。

 岡江さんも、志村さんも急速に容態が悪化するという点で共通しています。専門家などは、新型コロナウイルス感染症による肺炎の特徴として、短期間で悪化するケースがあると指摘しています。

■一般的な肺炎と新型コロナの違い

 そんな中、米ニューヨーク・タイムズに、新型コロナを10日間ニューヨーク市で対応した医師のオピニオンが掲載されました。この医師の話は、新型コロナの急速重体化の疑問の解消につながるかもしれません。

 通常、一般的な肺炎の病気では「挿管(体内へのチューブの挿入を含む医療処置のこと)」を行うような患者は、呼吸をするための唸り声を上げているような状態になり、はためで苦しそうにしているそうです。しかし、新型コロナはこうした他の病気とはまったく異なる症状を見せるというのです。

 その医師によれば、新型コロナの場合、挿管の処置を行う時でも、患者はスマホを操作するなど、多くの患者は重体化が起こっているようには見えません。彼らの呼吸は速く、胸部レントゲンは酸素濃度の低さを示しており、ひどい肺炎を起こしているのにも関わらずです。しかしながら、いざトリアージを行う時には、際立って酸素飽和度が低く、とても生活を送れないような状態に陥ります。このように、肺には深刻なダメージが起きているのに、患者本人や周囲の人から見て特段呼吸を苦しそうにしていないという不思議さがあります。

患者も周囲も肺損傷が分かりやすく認識できない

 医師は新型コロナ炎症のメカニズムについて、次のように示してくれます。通常、私達は「界面活性剤物質」があることで、肺は呼吸時に膨らんだ状態を維持できます。「新型コロナはこの物質を放出する肺の細胞を攻撃する」といい、これが急速重体化の元凶になると言うのです。

 【新型コロナ炎症のメカニズム】

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新型コロナにより、肺炎が炎症を起こす→肺の細胞が虚脱して酸素レベルが低下→この状態でも患者は二酸化炭素排出が可能、息切れを起こさない→だが血中酸素レベルの低下により、患者は無自覚に速く、深く呼吸する→ウイルスの攻撃と、患者の呼吸が炎症を促進→やがて肺炎が悪化し、酸素レベルの急激低下が起きる。
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 このように感染者はあまり息苦しさを自覚することなく、知らぬ間に肺の炎症が進んでいくわけです。いざ、救急で訪れる患者の肺損傷は驚くほど進行していますから、多くの患者に人工呼吸器を必要とし、これが医療リソースの消費につながっているのです。

 新型コロナの恐ろしさの一つに、患者も周囲も肺損傷が分かりやすく認識できない点にあると言えるわけです。

パルスオキシメーターを使い自宅で低酸素症を早期発見

 

 

 人工呼吸器をつけることは、膨大な医療リソースを消費しますし、患者も命の危険が迫る重体化に落とされることになります。ですので、医療と患者の双方にとって、そして医療崩壊を起こさないためにも、人工呼吸器の必要性が求められるような状況に陥らないことが寛容です。

 つまり、肺損傷が手のつけられないレベルに進行する前に、患者の早期特定を迅速に実現し、効果的な治療が必要だということです。医師は「病院で新型コロナ感染の診断をするのではなく、「パルスオキシメーター」を使って無自覚の低酸素症を自宅で発見することが可能」といいます。どういうことかというと、「新型コロナ感染そのものを診断するのではなく、新型コロナが引き起こす無自覚な症状を誰でも使える普及済の医療器具を使って発見しよう」という発想です。

 パルスオキシメーターというのは、どこの一般家庭にもおいてある体温計と同じようにシンプルな作りの医療器具です。小さく、誰でも簡単に取り扱うことができます。患者は指先に装着し、ボタン1つを押すだけで酸素飽和度と脈拍数を数字で示してくれます。この機器は国内のネット通販サイトを探せば、わずか数千円で販売されています。パルスオキシメーターは酸素レベルと脈拍の異常値を検出するのに信頼度が高く、高度な医療知識がない人にも取り扱いが可能です。

 

 

ボリス・ジョンソンも低酸素症の発見で早期治療に

 実際、この医師はパルスオキシメーターを使うことで、2名の救急医の命を救うことにつながったといいます。2人とも自身の酸素レベルの低下が起こっていることを、パルスオキシメーターで認識したことで、病院で治療をすることが出来たのです。このほかの有名な事例で言えば、イギリスのボリス・ジョンソン首相の低酸素症の発見、早期治療にもつながっています。

 医師は新型コロナの早期発見と、無自覚に肺損傷が進むやっかいさを示しました。しかし、同時にパルスオキシメーターを使って低酸素症と脈拍レベルを調べることで、自宅でも簡単に早期発見、重体化が進む前に早期治療につながる可能性を示唆してくれました。

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