抗うつ薬の働き


うつ病の様々な症状は、脳の中で気分や意欲にかかわる働きをする神経伝達物質、セロトニンやノルアドレナリンなどの量が減少し、情報伝達がうまくいかなくなるために起こると考えられています。

抗うつ薬は、これらの神経伝達物質が再取り込みされるのを防ぐことで、セロトニンとノルアドレナリンの働きを増し、情報がスムーズに伝わるようになると考えられています。
うつ病のくすりは、化学構造式の分類によって三環系、四環系、そしてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)に分類されます。

いずれも意欲や気分といった感情面に働きかける役割があるセロトニン、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで、抗うつ効果を発揮するといわれています。しかし、三環系、四環系のくすりはセロトニン、ノルアドレナリン以外の物質にも影響を及ぼすため、副作用があらわれやすくなります。

日本で最近になって使用されるようになったSSRI、SNRIは、いずれも三環系、四環系に比べくすりの作用がシンプルな点が特徴です。SSRIはセロトニン、SNRIはセロトニンとノルアドレナリンに限って再取り込みを阻害します。
現在、うつ病の治療においてはSSRIとSNRIを最初に処方することが多くなっています。

薬物療法はうつ病の治療において不可欠なものですが、適切に行われなければ十分な効果を発揮することはできません。

抗うつ薬は一般に、服用を開始してから効果があらわれるまでに2~4週間、最終的にくすりが効いているかどうかの判断には4~8週間の観察が必要といわれています。あせらず、根気よく継続していくことが大切です。

「ちっともくすりが効かない」と自己判断で服薬を中断すると、治療効果が得られないばかりか、うつ病を悪化させる原因にもなります。

自分ではよくなったと思いこんでいても、まだ十分に回復していないこともあります。医師の指示を守ってきちんとくすりを服用してください。そしてくすりに関して心配なことがあれば、必ず医師に相談しましょう。

うつ病の治療を始めると、比較的早い段階で副作用があらわれることがあります。どのようなくすりであっても副作用は起こることがありますが、抗うつ薬の特徴として、くすりの効果よりも先に副作用があらわれるという点があります。

「むなしい」「気がめいる」などの抑うつ症状は改善されないのに、副作用があらわれるというのはつらいものです。あまりにも症状がひどいと感じるときにはすぐに医師に相談しましょう。くすりの量を減らしたり、違う種類のくすりに変更するなどして、抗うつ薬による治療そのものは続けていくことが重要です。