NHKの国民生活時間調査によると、日本人の睡眠時間は50年間で約1時間短くなっているそうです。
どうして日本人は眠らなくなってしまったのでしょうか?
日本人はもともと勤勉ですよね。高度経済成長期には仕事をやればやるほど豊かになる実感が持てたわけです。だから、寝ないでがんばることが美徳とされる風潮ができてしまったのでしょう。
仕事だけじゃなく、受験戦争も激しかった。「四当五落」(4時間睡眠なら合格するが、5時間睡眠では落ちる)という言葉も生まれました。
バブル経済のころには「24時間戦えますか。」というキャッチコピーもありました。
睡眠時間を削って努力するという「精神」が、親から子へと受け継がれていってしまったのです。
――ところが、米国で1979年に起こったスリーマイル島原発事故や、1986年のスペースシャトル「チャレンジャー号」の事故、旧ソ連で1986年に発生したチェルノブイリ原発事故も、スタッフの睡眠不足が主な原因の一つと報告されています。
短時間睡眠が悲劇につながることは、電通やNHK、もしくは新国立競技場の建設現場などでの事件でも明らかになりました。
「働き方改革」に話を戻すと、残業時間の規制による一定の効果もあるでしょう。
ただ、すべての職種で残業時間を規制できるかというとそうではなく、マネジメントする側にとってもこれは大きな問題です。
――今や徹夜していることを自慢するようなビジネスパーソンはほぼいなくなりました。
でも、残業規制といっても、その人が休むと組織全体がストップしてしまうような、替えのきかない人材もいるでしょうね。
例えば、医師に対して厳密に残業時間の規制を適用すると、地域医療が崩壊してしまうところも出てくるかもしれません。コストをかけてそうした人材を社会全体で増やそうとしても、時間はかかりますよね。
医学的には、休養をとることの重要性ははっきりとしています。
あとは、「社会実験」によって、実際にこれを確かめることができたらいいのですが……。みんながきちんと睡眠をとることで、健康になったり、仕事のパフォーマンスが上がったり、企業の収益に貢献したりすれば、説得力が出ます。
――そうした実験には、時間もお金もかかりそうですが、ぜひ実現してほしいですね。
さて、最後の質問になります。三島さんは昨晩、何時間ほど眠られましたでしょうか?
いや、実は最近忙しくて……。
具体的な回答は差し控えさせてください(笑)。